隠居部屋に押し込められて暮らしていた祖父母たち

2011.12.23

私自身が六十歳の坂を越えた今、つくづく考えることがある。隠居部屋に押し込められて暮らしていた祖父母たちは、それで幸せだったのだろうか。「余生とはこんなもの」と納得し、満足して生涯を終えたのだろうか。私の祖母は、以後まで自分の家で一人暮らしを通した。子供たちが同居しようと誘っても、「自分の身の回りのことくらい自分でできる」と言って首をタテには振らなかった。さすがに七十歳を超えた頃からは、毎日のように私の母が様子を見に通うようになっていたが、それでも死ぬまで下の世話は受けなかった。

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足腰が弱って歩けなくなると、滑りの良い絹の座布団の上に座わったまま、家中に張り巡らせた紐を引っ張りながら、滑って移動した。廊下を這ってでも自力でトイレに行った。風呂場にはかならず一人で入り、浴槽には入らず床に敷いたスノコの上で寝転がって身体を洗った。「なんとお気の毒な」と思うかもしれない。